九龍回顧

Kowloon City (Hong Kong)

 続いてやって来たのは九龍塞城公園だ。世界的に有名だった魔窟・九龍城を取り壊した跡に造られた公園である。聞けば、九龍城は香港租借の際、緩衝地帯ではないがイギリス側も中国側も干渉できない完全中立地帯として設定されたという。完全中立とは聞こえが良いけれど、言ってしまえば無政府地帯であり、為政者が存在しなければ法律なども存在しない。となればあらゆる非合法がまかり通る無法地帯となるのは理の必然と言える。その無法ぶりを伝えるエピソードとして、ガイドさんは40年前に建物の中に入った日本人夫婦が未だに見つかっていないと言う話をしてくれた。建物が取り払われても見つからなかったのだから、侵入後に人身売買の商品にでもされたか、さもなくば消されたと言うことだろうか。安手の犯罪小説のような推測だが、ほんの十年余り前の九龍城はそういう話が真に迫る場所だったのだ。九龍城は返還に先駆けて取り壊されたが、当時大きな混乱は報じられていなかったと記憶している。

 さて、現在の九龍城跡は非常に健全な公園として整備されており、もはや魔窟・九龍城は伝説上の存在となった感がある。周辺地区も食通御用達の隠れ名店が存在するグルメエリアとなっているらしいけれど、この公園には少しだけ九龍城時代の名残を今にとどめる建造物が残されている。この場所が清代に行われたアヘン戦争の産物でありイギリスにも中国にも属さない無法地帯だった事は先述の通りだが、無法地帯化した後、それこそ無秩序にビルが建造されていった結果(説明が遅れたが九龍城とは言うものの、この城はいわゆる城郭建築ではない)、図らずも基底部に清代の建物を残した上に新しいビルが増築されていく形になった。この建物は九龍城最深部で20世紀末まで眠り続け、城の取り壊し時に発掘され、それが清代のものとして歴史的価値を有するものだと判明したのだった。現在この建物は保存処理が施されて一般に公開されている。皮肉にも、元々は刑務所だったようである。同じ場所には、清代のものと言われる大砲も展示されている。もちろん、今となっては使い物にもならない。

 九龍城後の立ち回り先は宝石店、シルク店、デューティーフリーで、行程は次第に香港お買い物ツアーの様相を呈して行った。私は買い物にまったく興味が無い。しかも単なる供回りとしてこの旅行に参加している事もあって日本円をびた一文現地通貨に換金していなかったため買い物などできようはずもない。パッケージツアーはわずらわしい手続きを旅行会社が行ってくれる点では評価できるが、この種の望んでもいない買い物につき合わされるのが良くない。

 宝石店ぐらいまでは付き合ったのだけれど、移動のバスの中で眠り呆けてしまい、気が付いたらシルク店は終わっていた。免税店として香港では名前が通っているギャラリアを見て夕食は金賞受賞店で摂った。大胡と言う店だ。数年前までは毎年のように金賞メニューを出していたが、ここ2、3年は受賞から遠ざかっている様子。少しシビアな見方をすれば、凋落傾向にあるのかもしれない。ちなみに出てきたメニューはやはり日本人にとってなじみのある中華料理ではなかった。まあ香港まで来て日本の○○飯店の味を求めるのも馬鹿馬鹿しいけれど。




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