鹿児島も今日は雨だった

 再び鹿児島中央駅に帰還。街の灯りがやけに懐かしい。九州でも最南部の鹿児島とは言え、3月上旬の夕方はまだ寒い。おまけに雨まで降っているから、重富駅では濡れ鼠になりながら寒さに震えていた。せっかくここまで戻ってきたのだ、何か暖かいものを食べてさっさと宿を探したい。

 鹿児島の味と言えば何が考えられるか。まずはさつま揚げである。前回の鹿児島旅行では、鹿児島中央駅前のエクセルサウナタイセイの中にあったレストランで親子丼と共にさつま揚げをオーダーしたのだけれど、意外にもこれがうまかったのに感激したことがある。普段の旅なら、宿は、それが見つけられない場合などを除けばサウナで決まりなので、今回も食事の心配などせずに前回と同じようにさつま揚げを頼めば良いのだが、明日は一日車を運転する予定になっているので、できるだけ疲れは取っておきたい。必然的に今日の宿は、安いながらもホテルにすることになり、タイセイのレストランは利用しづらくなってしまった。

 さつま揚げ以外だと黒豚なんかも鹿児島グルメだが、これは少々値が張りそうだし、第一ちゃんとした店でなければまともな黒豚料理は食べられそうにない。一人旅でそういう小奇麗な店に入るのも気が引ける。

 結局どこで食べようか。一度はコンビニでパンを買ってホテルに転がり込むと言うのも考えたのだが、今一度、鹿児島中央駅の駅ビル・アミュプラザのレストラン街を物色してみることにした。そうして味の小径と名づけられた飲食店群を一通り流してみた結果、ざぼんラーメンというラーメン屋で食事をとることにした。他にもそこそこバラエティに富んだ店があったのだが、やはりラーメン屋が一番取っ付きやすかったのだ。

 ざぼんラーメンは、鹿児島ラーメンの店なのだと言う。鹿児島ラーメンと言うのをあまり知らなかったのだが、要はとんこつ系のラーメンのようだ。よほどでない限り外れは無さそうである。そこで餃子とのセットを注文。よくよく考えると不思議な取り合わせなのだが、オーダーが通ると千枚付けのような漬物が出て来て、どうやらいくらでも食べて良いらしい。ならばせっかくだからとパリポリむさぼり始めたのだが、京漬物のようなほんのり甘い味を想像していたのに、塩分控えめの寝ぼけたような味で、漬物自体はさほど旨くはない。こういった具合に、漬物だけで腹が膨れると言うこともなく、目的のラーメンも完食。可もなく不可もない味であった。

 その夜の宿は、鹿児島駅前のビジネスホテルすずやに決めた。本当に駅前の一等地にあるのに、なまじのカプセルホテルより安いという爆安の宿である。「建物が古めかしいからなあ」とは思いながら宿泊の手続きを済ませたものの、部屋に入ってビックリ。最低ランクの部屋なので仕方がないが、ベッドを置いただけいっぱいいっぱいの広さに、昭和40〜50年代を思わせる水周り(しかし一応バストイレセパレート)を備えると言うレイアウトだった。宿泊費と土地代のバランスを考えると、設備がこのぐらいになるのは妥当なところかもしれない。一瞬グラっと来たが、気を取り直し、エアコンをフルパワーにして濡れた装備を乾かしにかかる。バックパックに放り込んでおいたマックスマップルも、いくらか湿り気味だ。これを広げて乾かしがてら、翌日の行動計画を練る。明日は、鹿児島県の西の端・志布志を越え、宮崎県日南市の飫肥まで車で移動する。その行き来には隼人道路を使用するのが良いだろうか、交通量も少ないであろう桜島を経由するのが良いか。考えているうちに強い睡魔に襲われた。

 ある種衝撃的な部屋ではあったが、前日来の睡眠不足と、今日一日の疲れもあって、一度眠りについた後は朝まで眼がさめることはなかった。






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