戦い済んで

 今日の予定はこれで一通り消化した。このまま車を返却して食事を取り、宿(と言っても今日はサウナだが)に向おうか。しかし、それにしても少々早い時間である。そこで、明日行くつもりであった高尾城址と富樫氏居館後に向かいがてら、石川のソウルフード・チャンピオンカレーで食事を済ませて帰ろうかと思い直した。驚くべき事にこのチャンピオンカレー、最近では石川観光のガイドブックにそれなりのスペースを割いて紹介されるほどになっている。あくまでもB級グルメとしての扱いではあるのだけれど。

 さて、高尾城は城跡と言うにしてもあまりにお寒い状況になっている。もともとは加賀の守護だった富樫氏の詰の城があった場所である。詰の城とはつまり戦時拠点の事で、同時代の城の多くがそうであるように高尾城も現在の金沢市郊外高尾町あたりの山にあったとされる。ところが昭和45年(1970)になると、同地は北陸道建設のための採土場となり、城の遺構の存在など無視するが如く、高尾城周辺の山は削られていったという。内心、さすがにそのようなことになってしまった城に対してはさほどの興味を持てなかったのも事実である。さらに、城跡とされる箇所には石川県の施設が建ち、気軽に立ち入り出来る雰囲気ではない。結局城跡近くの道までは進んでみたものの、城跡そのものを見ることはしなかった。代わりに、北陸鉄道の野々市工大前駅付近にある富樫氏居館跡の方を見ていくことにした。以前金沢に暮らしていた頃は、さほど機に停める事もなく隣を通り過ぎていた場所である。今改めて写真を撮りに行っても、特にこれと言うものがあるわけではない。本当に標札だけである。

 さて、今日の夕食をとるチャンピオンカレーは工大前駅近くにあったはずなのだけれど、数年ぶりに訪ねてみると、店の場所が移動していた。さらにそれと入れ替わるように、近くにあった大型書店「王様の本」は、駐車場への出入りを禁止し、店を畳んでしまったかのようにひっそりしている。5年かければ人は顔立ちも変わる。ましてや街並み、ましてや学生街、今日も野々市迷子である。センチメンタルな気分に浸りながら、チャンカレでこの店の代名詞とも言えるLカツカレーをオーダー。食券を購入し、無言で店員に差し出すだけで注文が通るスタイルは以前のままだった。惜しむらくは、チャンカレ名物「サービスしていない時間の方が短いタイムサービス」の恩恵を受けられなかった事だ。通常550円で食べられる、ボリュームはあるが格別うまいわけでもないカツカレーを750円で食す。

 その後、能登のキリコとか古民家の事などが気になっていたため、適当な書籍はないかとブック宮丸など金沢では有名どころの書店に立ち寄りながら金沢駅前まで移動。車を返却後、再び片町まで戻り、地元では堅めの書店と目されている柿木畠のうつのみや書店にも立ち寄り目的に適う本を探したが、これはと言うものは見つけられなかった。あちこち寄り道をしていたら良い時間になったので、今日の寝床であるサウナーオーロラに入店した。安いのだが、特に目を引く設備もないサウナである。







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