■DATA
 経路
  初日:名古屋-大阪 → (徒歩) → 大阪城公園-大阪 → 大阪-博多(翌朝着) 
  初日通常運賃:12920円

  2日目:博多-吉野ヶ里公園 → 吉野ヶ里公園-熊本 → 熊本-八代 → (肥薩おれんじ鉄道利用)
        → 川内-鹿児島中央 
  2日目通常運賃(JR線のみ):3430円

  3日目:鹿児島中央-開聞 → (バス利用) → 指宿-鹿児島中央 → 鹿児島中央-新八代(九州新幹線利用)
        → 新八代-博多 → 博多-?(翌朝着)
  3日目通常運賃(JR在来線のみ):14970円

 JR在来線のみ通常時運賃総額(3日目まで):31320円(途中下車を利用しない場合)

 18きっぷで賄えなかった交通費
  肥薩おれんじ鉄道乗車券:2000円(18きっぷ連動企画のおれんじ18フリーきっぷ購入)
  鹿児島交通バス乗車券:900円?正確な額は忘れました…。
  九州新幹線乗車券+新幹線特急券:4830円


 そう どんな世界の果てへも 気ままに旅して廻って

 1泊4日鹿児島への旅へと出発したのは、名古屋をはじめ東海地方が観測史上稀に見る大雪に見舞われた2005年12月23日のことだった。この寒さは東海地方に限った話ではなく、この冬は気象庁も土壇場で暖冬から厳冬へと予報を修正したような寒い冬となり、最終目的地である南国鹿児島ですら実に80年ぶりと言われる雪に見舞われていた。

 東海地方の積雪も、単に記録という点にだけ注目するのであれば数日前にすでに五十数年ぶりで更新されていたのだけれど、もとより雪慣れしていない地方のことである。レコード級でなくともちょっとまとまった量の雪がふれば交通が大混乱するようなありさまだ。中数日の短いスパンのうちに再び大雪に見舞われれば、「前回の教訓を生かし…」などと悠長なことを言う間もなく、再び混乱のるつぼへと叩き落されるのは理の必然だ。

 家を出たのは午前9時ごろの事。名古屋駅までは地下鉄なのでよほどの降雪に見舞われでもしない限り電車が止まるようなことはないのだけれど、名古屋駅を発着するJRの各線には、程度の多少はあれ、すでにかなりの混乱が発生しつつあった。青春18きっぷを使って九州へ取り付くためには、是が非でも今夜22時に大阪駅を出るムーンライト九州(始発駅は新大阪)に乗らなければならないのだが、さすがに12時間かかって大阪にたどり着けないという事もあるまい。岐阜・滋賀県境付近、駅で言うと関ヶ原から米原あたりの地域はもともと積雪量の多い土地柄なだけに今回の大雪で全線運休となることも予想されるが、最悪の場合、運休箇所から名古屋まで引き返し(あるいはJRの振替輸送に期待することも可能だが)三重から奈良を経由して大阪に至る関西本線を利用するという手もある。

 果たして、たまたま乗り合わせた名古屋発米原行き快速は、定刻よりも数分遅れの出発となった。それでも乗り換えなしの直通で米原駅まで行ければ御の字だと思っていたのだが(米原駅より先はJR東海のシマから西日本のそれとなる関係で、米原駅を挟んでの2社の車両の相互乗り入れは行われない)、やはり濃尾平野に比べて積雪の多い大垣以西の地区に入ると列車の流れが悪く、すでに短い区間に列車が密集しすぎている状態になっているとかで、快速は急遽各駅停車で時間を稼ぐようになり、ついには大垣どまりとなってしまった。大垣から先へは、大垣駅で待ち構えていた別の米原行き列車で進むことになったのだが、大垣より先の垂井−関ヶ原間では列車渋滞がいよいよ収拾のつかないことになってしまっているらしく、数百人からの乗客は、いつ動き出すとも知れぬ鮨詰め状態の列車の中でただひたすらに出発の時を待つことになった。

 30分ほども待ち続けた頃だっただろうか。ついにJRが英断を下した。垂井飛ばし、すなはち垂井を通らず大垣からダイレクトで関ヶ原に到着するルートを使用することになったのである。ある程度のレベルの鉄道マニアにとっては周知の事実らしいのだが、大垣と関ヶ原を結ぶ区間、東海道本線は2ルートに分かれる。北陸線経由で名古屋と富山、金沢、七尾・和倉温泉を結ぶ特急しらさぎなどは途中の垂井駅に停車する必要がないので上りだか下りだかに限ってこちらのルートを走行すると先達から聞かされたことがあるのだが、どうやら在来線がその裏ルートを走行するという椿事に立ち会うことになったらしい。垂井に用がある人は関ヶ原から上り列車で人駅戻ってほしいとのことだった。

 やがて列車は積雪の道を警戒する様に、ゆっくりとしたスピードで走り始めた。大垣から関ヶ原までは直線距離でせいぜい10km程しか離れていないはずなのに、先行の列車が難渋していたのもむべなるかな、この10km程の距離を進むうちに沿線の積雪状態は劇的に変化していった。関ヶ原近くまで来るとあたりは一面の銀世界で、車窓からも白以外の色はほとんど見えない。その光景は完全に雪国のそれで、列車がそのまま走り続けられるかと不安を覚えるほどだった。しかし、列車はどうにか米原駅に飛び込むことができた。米原駅とその周辺の線路はもともと雪に耐えるべく運命付けられているため、それこそちょっとやそっとの雪ではびくともしない。米原から先は比較的スムーズに話が進み、姫路行き快速で特に問題もなく大阪入りを果たすことができた。大阪着は14時過ぎのことだったから、自宅を出てから5時間ほどが経過していた。通常、名古屋−大阪間は乗り継ぎの都合にもよるが在来線で3時間ほどの距離だから、何やかんやとトラブっていた時間が2時間ほどあった計算になる。

 遅々として進まない電車の中では、ヘッドホンから聞こえてくる音楽だけが心の慰めだった。歌は旅の友にもなる。

 「何に縛られるでもなく 僕らはどこへでも行ける そう どんな世界の果てへも 気ままに旅して廻って…」

 この鹿児島行きのテーマソングがMr.Childrenの「worlds end」に決まったのは、大阪へと向かう車中でのことだった。






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