瑞穂の国の桜咲く春

 いよいよ最終日。と言っても、実質的に今日は、お土産を買って、名古屋まで帰るだけの日程なのだが、最大の目玉となるのが、九州新幹線乗車である。鹿児島中央から名古屋までは、乗り換えなしの直通列車が存在しないので、どこかで最低一回は乗り換えをしなければならない。昨日まで、その乗換駅を博多にしようか新大阪にしようか悩んでいたのだが、結局新大阪行きのさくらに乗り、新大阪からのぞみ(まあひかりでもこだまでも良いのだけれど)に乗る事にした。博多で乗換えとなると、そこから先は実質的に東京行きののぞみ一択となるのだが、それではいつもの九州旅行と同じだし、新味がない。ちなみに、鹿児島中央から新大阪まで最速で移動できるのはさくらではなく、みずほの方で、博多‐大阪間に限っても、のぞみよりも早いという。もっとも、2011年3月現在、みずほは本数が少ない上に、比較的早い時間帯しか走っていない。

 ホテルを出て、駅へ。新幹線口から指呼の距離にあるホテルなだけに、鹿児島の街と別れを告げる暇もなく、構内にたどり着いた。何はともあれ、土産物屋の集まった、みやげ横丁へ向かう。以前に来た時から、奥行きが深くなるなど、レイアウトが変わったような気がするのだが、何せ前の記憶があてにならない。10時くらいにならなければ開かないかと思っていたが、8時半には開店するというのが心強い。

 ここでまず、初めての鹿児島旅行の時にちょっとした感動を覚えた、揚立屋のさつま揚げを購入。これは自分用だ。続いて、職場用に薩摩蒸気屋でかるかんとかすたどんの詰め合わせを買う。かるかん(軽羹)は、米粉や山芋に砂糖を練り合わせて蒸し、スポンジ様に仕上げた、鹿児島の伝統的お菓子だ。これについては、前回か前々回の旅行の時に学習した。販売店で聞いた話なので、もしかすると、その時も蒸気屋で質問したのかもしれないが、結局何も買わずに済ませているのは間違いない。近年では、伝統的製法で作ったかるかんの中に餡をつめた、かるかん饅頭が主流になっているという。みやげ物用のかるかんとなると、餡のバリエーションも、大豆餡をはじめ様々である。それを踏まえて、かすたどんなのだが、これはスポンジケーキの中にカスタードクリームが詰まっている。スポンジ≒かるかんなのかと思い、これもかるかんのバリエーションなのかと尋ねたら、店のおばちゃんは一言、「かすたどんです」と答えた。「かすたどんはあくまでかすたどんとして受け入れてほしい」というおばちゃんのメッセージだと理解し、最終的には、かるかんとかすたどんの詰め合わせを買ってみることになった。

 買い物を済ませ、最後に用もなく桜島口に出てみた。今後しばらくは鹿児島に来る事もないかもしれない。そう思い、駅前の写真を一枚撮っておいた。

 適当に時間をつぶしたところで、さくら号に乗り込む。ホームで待つ客は、そんなに多くない。また、発車時間近くなってやって来た列車も、16両編成ではなく、どこか寸足らずに見える8両編成であった。ちなみに、今回の車両はつばめの流用ではなかったのだが、どこからどう見ても普通の(?)N700系である。大して鉄道に造詣の深くない私の目には、のぞみと変わらないようにさえ映る。車両内部も、のぞみそのものであった。

 後日放送されていた日テレ系の「火曜サプライズ」では、さくら仕様のさくら(ジャポネスクバージョン)があるらしいことが紹介されていたが、私の乗車時は、唯一車内放送のみが、この列車がのぞみではなくさくらであることを主張していた。喋っているのも、のぞみと同じ女の人だ。なお、列車名である「さくら」のイントネーションだが、未だ統一を見ないようで、あまねく新幹線の車内放送を担当していると思われるMs.新幹線は、花の名前と同じように発音するのだけれど、乗務員は、横峯さくらなんかと同じ、女の子の名前のようなイントネーションでアナウンスしている。一応、Ms.新幹線の方がオフィシャルなのだろうが、くだんの「火曜サプライズ」は後者で読み上げていた。蛇足。

 九州新幹線は山陽新幹線以上にトンネルが多く、その点は今ひとつ面白みにかける。やはり、博多までを一時間余りと、かなり短時間で移動できるのには感心したが、わりと乗降客の多いイメージがある博多駅でも、それほどたくさんの人は乗ってこず、東京行きのぞみに流れている人が多いのかもしれない。博多から先は、何度か乗車している区間だったので、さほどの新鮮な発見もなく、2011年の鹿児島旅行は終わった。終わってみれば、この旅で18きっぷを使ったのは初日に福岡・佐賀エリアを移動した際のみで、あまり有益な使い方ではなかった。と言うより、予定外に新幹線を使ったり、ホテルに泊まったりで、最近では最も金を使う旅行だったと言って良い。

 なお、新幹線利用で名古屋と鹿児島中央を行き来すると、前述したみずほを使うかどうかで20分ほどの差が生じる場合があるが、概ね5時間ほどの時間を要することになる。ライバルは飛行機となりそうだが、飛行機との便数の差、さらには名古屋・鹿児島それぞれでの市街地から空港までのアクセスの便を考えると、状況に応じて使い分けるのが賢いのだろう。運賃は、条件にもよるが、新幹線の方が5千円から1万円安いようだ。

 冒頭述べたとおり、今回の旅は宮崎行きがふいになった結果としてプランニングしたものだ。もちろん、宮崎もまだ諦めていない。今回で鹿児島の主だったところの観光を済ませたことになるため、近いうちに宮崎本位の旅をしたいものだ。聞けば、大阪と宮崎を結ぶフェリー路線があるらしく、これで夜を徹しての船旅という新機軸を楽しんでみたいと思う今日この頃である。






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