鯨飲鯨食

 高知駅には、20時前に到着することが出来た。週中でも、今日に限っては休日だったが、明日はまだ通常のウィークデーだ。高知の街は、一週間最後の稼働日を控えて、いつもどおりの落ち着いた夜を迎えているだろう。そんなことを考えながら、駅を出て、南方にある昔なじみのアーケードを目指す。もっとも、昔なじみとは言っても、以前の高知旅行の時、帰りのムーンライトを待つ間、所在無く一帯をうろうろしていただけなのだが。

 いざたどり着いてみると、実際アーケードにはほとんど人通りがない。地方のアーケード街では珍しくもない風景ではあるが、単に平日の高知の夜が早いだけなのだろう。通りに面した店は、別段空き店舗が多いという風でもない。ファストフードも含め、食べ物屋の類が少ないのは5年前と同じか。

 目指すひろめ市場は、このアーケードの端にある。言ってみれば屋台村のようなもので、前回分かったことだが、さほど観光施設としての色彩は濃くない。そしてここに限っては、地元高知市民と思しき多くの客で賑わっていた。活気があって良いのだが、活気があり過ぎて席がない。ここのシステムは、店で料理を注文した後、それを持って近場のテーブル席に移動するという形式なのだが、その席が非常に少ない。もちろん全席が埋まっているということもないのだけれど、酒を酌み交わし、和気藹々と歓談を続ける他の客の隙間に体を差し込むような気にもなれず、ひろめ市場での夕食はあきらめる事にした。

 今日の宿は、駅とひろめ市場の中間点辺りにあるスーパーホテルである。近年では日本各地で見かけるようになったこの系列だが、それだけに一度利用しておくと、今後の旅行計画の助けになるのではないかと思い、今回初めて泊まってみることにした。もちろん、明日は車の運転をする予定になっていることも加味してのホテル泊なのだが、今回の宿泊プランだと、朝食は無料だが夕食がない。仕方なく近場のファミリーマートでカップ麺とおにぎりを購入。何だか一時期出張続きでホテル住まいになっていた頃のことを思い出す。今となっては良い思い出…とも言いにくい、あまりありがたくない思い出である。

 そうしてたどり着いたスーパーホテル高知は、建物自体は新しくて清潔感はあるものの、やはり比較的低廉な価格帯のビジネスホテルということがあり、さほど豪奢な造りでもなく、その点で私にも親しみやすいものだった。フロントの応対は丁寧で、かといってくだくだしくもなく、まず好感が持てる。一枚もらったテレビ番組表に、「今日の一言」的なコメントが付け加えられているのにも和まされる。一方で、設備やアメニティの面は非常に簡素である。まあ値段相応ではあろうが、人によっては物足りなく見えるレベルかもしれない。個人的には許容範囲である。総じて、値段相応よりは好もしい印象を持ったものの、その値段が全国津々浦々の場末の古めかしい安ホテルよりは割高なため、普段の私の旅においては贅沢な宿の部類に入る。これから頻繁に利用する機会はあるだろうか。

 翌朝。前述の通り、今回の宿泊プランでは無料の朝食バイキングが付いている。普段の私の旅行だと、時間的な問題もあって朝食抜きの行動となることも珍しくないのだけれど、今回は朝食が用意されていて、かつそれを食べる余裕があったため、せっかくなので頂いておいた。高知だからと言って朝から鰹の料理が出るようなものでもなかったが、旅館の朝食の定番のような焼き魚は旨かった。そう言えば、パン食は無かった気がする。







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