憧れの宮島航路

 日本三景「安芸の宮島」として知られる厳島は、もともと島全体が佐伯郡宮島町に属していたが、2005年の11月3日に廿日市市と合併し、現在は廿日市市宮島町となっている。長方形に近い形をした島で面積は30平方キロメートルほど。島民人口は2000人強である。島内には弥山と言う山があるが、標高は529.8mと島嶼部の山としては意外に高く、466mの岩船山と峰続きになっているため、遠くから見る島影は結構切り立ったシルエットをしている。厳島=宮島と言えば厳島神社と海の中に立つ大鳥居の姿があまりにも有名で、神社は1996年に世界遺産に登録されている。

 厳島に渡るには、宮島フェリーを利用する事になる。フェリーを運航しているのはJR西日本と宮島松大汽船の2社だが、約15分の運航間隔、乗船料金ともにまったく同じである。普通に利用するならば、何も考えず先に出航する方に乗船すれば良い。船自体はさほど大きくないが、それでもフェリーなのだから、車と一緒に乗る事ができる。

 宮島口の駅からフェリー桟橋までは目と鼻の先の距離だ。大きくもない駅舎を出て、国道2号線の下を通る地下道を抜けるとすぐにフェリー乗り場がある。舞楽の「蘭陵王」(らんりょうおう)を模った像が出迎えてくれる。像は台座に蘭陵王と記銘されているが、「羅陵王」(らりょうおう)とも言う。わりと真新しい印象の像だ。厳島神社の奉納舞か何かでよく舞われる演目なのだろうか。ちょっといわくは分からないものの、かなり目に付く像ではある。その蘭陵王の脇を通り過ぎると、左手に松大汽船、右手にJRのフェリー乗り場があるが、18きっぷ旅の今回は、もちろん右手のJRフェリーの乗り場に向かう。乗船券売り場に「青春18きっぷで乗船できます」の案内を見つけ一安心。もっとも、18きっぷを使って浮かすのは片道200円にも満たない乗船料なのだけれど。

 宮島航路は約10分の船旅だ。フェリーの内装は結構きれいで、最前列のシートに座ればこれから目指す厳島の風景を思う存分堪能できる。もちろん甲板に出れば厳島や本土の風景を眺める事もできる。つかの間の船旅中、その甲板からカキの養殖いかだなどといかにも広島らしいものを見ながら島を目指す。「幻のかき」などとアピールされ、心なしか腹の虫が鳴いているような気もしてくる。時間も時間だし致し方ないか。カキは"R"のつく月しか食べられないと言うが、Aprilが終わってMayがやってくると秋のSeptemberまで4ヶ月ほどはお別れとなる海の幸だ。せっかく広島に来たのだから、今日の夕飯はカキでも食べようか。お好み焼きも捨てがたいのだけれど。そんなことを考えながら海を行く。

 このフェリーは、潮の干満によって多少航行ルートが変わるらしく、時間帯によってはあの大鳥居のかなり間近にまで近づくらしい。しかし残念ながら4月の夕方は引き潮時らしく、鳥居は海上遠くから眺めるだけである。なるほど、島の方を見るとすっかり干上がった浜辺で鳥居の足下にまで観光客が近づいている。






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