博多でおみやげ

 1時間あまりをかけて大村市に移動。ここで私が目指すのは玖島城である。とりあえず、駅で列車を降りた後、少し距離のある城までの道を歩く。

 玖島城は、またの名を大村城という。大村湾に面して建っていた近世城郭の跡は、現在大村城として整備されている。日本さくら名所100選の中にも数えられる公園ではあるが、まだ少し時期が早いらしく、園内で見られる桜の枝に、花はついていなかった。たまたまそういう時期だったのか、それともやはり九州だから温暖なのかは分からないが、この数日は暖かな日が続いてはいたのだが。なお、桜以外にも、かつての堀の部分に花しょうぶが植えられていた。こちらは当然シーズンではないが、花の多い公園であるには違いない。

 城跡としては、多分埋め立てられているのだとは思うが、前出の堀があるほか、石垣、そして復元建造物として櫓、塀がある。本丸跡には、大村氏歴代を祭るものという大村神社があるが、ここに関してはすっかり神社の敷地と化してしまった感があり、目ぼしい城郭遺構はない。有体に言えば、長崎の有名どころ城郭を、一つ消化したといったところか。

 柳川城訪問を取りやめたので、大村城の攻略後は、博多駅へ向かう。大村駅から博多駅まで、3時間程度はかかり、決して短い道のりではないが、昨晩のように対向待ち・特急待ちがほとんど無く、ほぼ澱みなく走っていける点に関しては、気持ちが良い。

 博多駅ではお土産を物色。今回、ただ通過しただけの県も含めれば、宮崎、鹿児島、熊本、佐賀、長崎、福岡と、大分を除く九州全県を回ったことになり、それら各県の名産の中から何かを買えば、一応お土産としての道理は立つことになる。鹿児島のかるかんはすでに購入しているため、一応それ以外の何かを買おう、できれば滞在時間の長かった宮崎のものが良いと思いながら、博多駅マイングを歩き回る。

 こうしてみると、やはり博多の商業施設だけあって、「ひよこ」に始まり福岡銘菓を売る店が多い。かなり水をあけられるが、次いで長崎のカステラが目に付く。鹿児島の各種名物(焼酎、さつま揚げ、かるかん)がそれに続いているか。熊本のものでは、一応辛子レンコンが売られている。宮崎土産としては、マンゴーを使った洋菓子の類が売られているのではないかと期待していたのだけれど、そういったものが全く見つからない。「博多から遠い南九州の県だから」という理由付けは、鹿児島勢の隆盛を見れば、必ずしも正確ではないだろう。後日、「薩摩剣士隼人」全話をYouTubeで見て、鹿児島はかなりキャラの立った県であることを発見させられたが、それに比べると宮崎は、やはり前知事が言っていたとおり、地味な県らしい。まあ、鹿児島については新幹線の終着駅となったことも効いているかもしれない。

 頭を悩ませることになったのが、職場で大量に配布するのが前提となるお土産である。やはり滞在時間の長さから、長崎のカステラにしようかと考えないでもなかったが、カステラは未だに一本、二本と本単位で売るのが基本のようで、小分けにして広く浅く配るのに適したような包装がされているものというのが見当たらない。一度は、「ざびえる」を買って帰ろうかと思ったが、大分のお菓子であったことを思い出し、結局は「博多とおりもん」で手を打つことになった。最終的に購入したのは、博多とおりもん、さつま揚げ、高千穂産梅を使った梅酒の三品となった。

 帰路は、新幹線「のぞみ」を利用。東京行きを狙ったため、名古屋までは乗り継ぎなし3時間半の道のりである。3時間半は、今回の旅行で言えば、肥薩おれんじ鉄道の乗車時間、もしくは大村から博多までの乗車時間に、少し色をつけた程度の長さだ、そう考えると、やはり新幹線というのは大したものである。そこにカタルシスを覚えたところで、ノロノロ進む18きっぷの鈍行旅は終わりを迎えた。






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