■DATA
 経路
  初日:名古屋-東京 ※(ムーンライトながら利用・大府にて日付変更。名古屋-大府間は別途乗車券購入、東京には翌朝着)
  初日運賃:320円

  2日目:東京-沼田 → 沼田-六日町 → 六日町-長岡 → 長岡-新潟
  2日目通常運賃:11640円

  3日目:新潟-米沢 → 米沢-山形(新幹線利用) → 山形-有備館 → (徒歩) → 岩出山-仙台
  3日目18きっぷ利用区間運賃:6010円

  4日目:仙台-郡山(途中下車) → 郡山-会津若松 → 会津若松-郡山 → 郡山-名古屋 ※(乗車券・新幹線特急券購入)
  4日目運賃:17950円(名古屋-仙台間)+2220円(郡山-会津若松間往復)

 18きっぷ利用区間通常運賃総額(2日間):17650円(途中下車を利用しない場合)

 18きっぷで賄えなかった交通費
 初日 名古屋-大府:320円
 3日目 山形新幹線乗車券+新幹線特急券(米沢-山形):1550円
 4日目 20170円


 直江山城守

 2009年のNHK大河ドラマは、火坂雅志原作の「天地人」らしい。主人公は上杉景勝の家老、直江山城守兼続その人である。名将として「知る人ぞ知る」の人物だが、最近では「愛」の前立てを付けた兜ばかりがやたら有名になっているらしい。そしてその意味するところは「愛民」であると、半ば定説のように喧伝されているが、実際には愛宕権現とか愛染明王の愛から来ているとする説の方が一般的だ。名前は売れているのかもしれないが、その売れ方にはどうもアンバランスなイメージが付きまとう。2007年の大河が、武田信玄の軍師・山本勘助を主人公にした「風林火山」であるため、それと対照させるために上杉のかじ取り役を持ってきたものなのかどうかは定かではない。正直に言うと火坂雅志なる人物は名前すらも知らなかったのだけれど、ともかく兼続がひとかどの人物である事は間違いない。残念ながら、彼にゆかりの地の中にも、兼続の事跡がさほど知られていないところがあるようだが。

 思い起こせば3年前の夏。司馬遼太郎原作の「功名が辻」が大河ドラマ化されると聞いて、山内一豊なる凡将のことについて調べた事があった。そして最終的に一豊出世すごろくのあがりとなった高知の地を訪ねたのが、昨年の春である。今回もそれに倣って、兼続が大河ドラマ化されるにあたり、夏の18きっぷを使って兼続の足跡を訪ねる旅に出る事にした。コースルートには色々と変転があったものの、兼続出生の地である坂戸城(新潟県南魚沼市)、もとは樋口与六と名乗っていた兼続がその名跡を継ぐことになった直江氏の居城・与板城(新潟県長岡市)、上杉家の家老として内政家兼続が辣腕を振るった米沢城(山形県米沢市)、戦場指揮官としての兼続を知る長谷堂城(山形県山形市)を軸にすることは早くからプランにあった。さらに、東北方面などなかなか行けるものではないから、戦国末期から江戸初期にかけて東北の雄であった最上氏の居城・山形城(山形県山形市)、同じ大河ドラマつながりで半ば伝説となった「独眼竜政宗」の伊達政宗の居城・岩出山城(宮城県大崎市)、同じく政宗が近世大名への転身を果たした仙台城(宮城県仙台市)もプラス。最終的には減封以前の上杉家において兼続が与えられた三十万石の所領、会津の若松城(福島県会津若松市)も見ていくことに。ちなみに計画倒れに終わったのが若き日の上杉謙信にゆかりの栃尾城、景勝と兼続の主従が戦った新発田氏の反乱にちなんだ新発田城、戦国城郭ではないのだが多賀城といったところである。

 とにかく新潟方面に行くだけなら、朝一番の中央線に乗り、松本-長野-上越と進めば灯ともし頃にはたどり着けるはずである(なお、この旅行の直前に新潟県中越沖地震が発生した関係で、実際の旅行時には上越地方から中越に移動する路線はストップしていた)。ところが、若き日の兼続にゆかりのある中越地方を通っているのは上越線である。上越線が中越を走るというのが紛らわしいが、この路線名は上州と越後を結ぶ路線だから上越というのであって、上中下越というときの上越とは別物だ。その上越線は、いったん新潟まで出た後さらに南下するか、さもなくば東京方面から北上するかしなければ入る事のできない路線である。従って、深夜に名古屋を出るムーンライトながらを利用し、朝一番で東京から新潟を目指す経路を採用する事にした。出発を金曜の夜にすれば、週末の休みを有効に利用できるから一石二鳥だ。

 問題は、ムーンライトながらの座席指定券がマニアの間では有名なプラチナチケットだという点だ。ムーンライト系統に乗車するには、乗車券のほか座席指定券が必要なのは再三このシリーズの記事でも触れたとおり。物の本などによれば販売開始数分で売切れてしまうという。この指定券は、乗車する列車の始発駅出発日の1ヶ月前午前10時から販売が開始されるそうだが、普通に勤めに出ている人間が朝の10時に遊興のためのきっぷを買いに出かけることは至難である。たまたま出発予定日の1ヶ月前が休日ならば良いのだが、この時の場合は運悪く、発売開始日は平日であった。

 それでも券を押さえる方法があるにはある。JRの駅の中には早朝受付なるものを行っている駅があるらしく、日中仕事などできっぷを押さえる事ができない人のために当日早朝にきっぷ購入の予約をすることが出来る場合もあるのだ。朝の6時とか、みどりの窓口が本格稼動する前に予約をしておくと、10時の操業開始時には予約業務から優先的に処理されるので、これを利用すると指定券の入手率が上がるのだという。

 これだけやっても「入手率が上がる」程度の話でしかないのにげんなりしてしまうが、とにかくそういう方法があるという話は事前に聞いていた。そこでこの方法で指定券を取ろうと思っていたのだけれど、運悪くその予定日の朝を寝過ごしてしまい、早朝受付を利用する事もかなわなくなってしまった。結局昼休みを利用して名古屋駅まで出かけたところ、通路側の席で良いのならばまだ売れ残っているという事なので、それを買うことにした。後で聞いたところによると、ムーンライトながらは臨時増発分と常時運行分の二系統が存在していて、常時分のきっぷ入手はそこまで極端に難しい話ではないらしかった。






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