遠い四国

 私が青春18きっぷ旅の道に踏み込んだのは、ムーンライト高知(松山)他、ムーンライト系列車の晩年近くだったと記憶している。そのため、東京行きの際に有用でその後も永らえたムーンライトながらはともかく、ムーンライト九州も、ムーンライト高知も、それぞれ1度しか使っていない(ただし九州は往復利用している)。

 九州が遠いのはもちろんだが、名古屋からだと四国も遠い。移動距離の割に、時間距離が長い。なるほど、朝一番で名古屋を発てば、昼ごろには瀬戸大橋を渡り、香川県に入ることが可能である。ここから半日を香川県内観光に費やし、そのまま高松辺りで一泊するなり、岡山まで戻るなりも可能ではある。しかし、香川から隣接県への鈍行移動が厳しい。徳島行き、愛媛行きとも、そこからさらに数時間はかかる。各県における行動拠点となる、県庁所在地までの移動は可能だが、同日中の県内観光は考えにくい。高知ともなると、全日を移動に費やしても、灯ともし頃に高知駅に着けるかどうかと言った所だろう。

 そういう意味では、関西圏始発とは言え、四国行き夜行快速の存在は有難いものだったのだけれど、にもかかわらず、ムーンライト高知および松山は、2008年度の冬を最後に廃止となってしまった。

 四国四県、距離的に近接しているため、一くくりにされることは多いのだけれど、実際には18きっぷによる周遊がしにくい不利もある。その不便さゆえに、振り返ってみると、私の足が四国に向いたことというのは、意外と少ない。

 ムーンライト高知・松山の廃止後、愛媛県内に遊び、しまなみ海道を渡って広島に入る旅に出かけたこともあるし、徳島から取り残しの高松城を取って岡山に渡った旅もあるのだが、そういうわけで、いずれの時もJRの夜行バスで松山なり徳島なりに入っている。今度の旅は、ふと思い立って、はるかなる地・高知県内ほかに点在する長宗我部氏ゆかりの城を落として回ろうと思ったのがそもそもの動機なのだが、行きはやっぱりJRバスを使うことになった。

 その計画を俯瞰すると、概ね二日で高知県+徳島県を周り、3日目に、「高」つながりではないが、高野山に登ろうと、そういう旅行であった。

 なお、バスの予約段階では、松山でバスを降りて、予土線に絡めながら宇和島方面を回って高知県入りする予定だったのだけれど、極めて乗継が悪かったため、徳島でバスを下車して、前々から興味のあった勝瑞城、白地城を訪ねながら、高知県を目指す形に計画変更する羽目になった。つまり、徳島線で阿波池田まで移動し、そこから土讃線で高知に向かうルートである。どうも四国で鉄道移動を考える場合は、阿波池田駅を中継点にして、十字軌道で移動するのが最も効率が良いらしい。






TOP 冬の旅








100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!