伊吹山
■所在地:岐阜・滋賀県境
■標高:1377m
■標準歩行時間:3時間20分(現地案内より)
  
    伊吹山は、岐阜滋賀両県の境界付近に位置する山だ。標高は1000mを少し出る程度で、決してずば抜けた高山と言うわけではないのだけれど、人里に近いため、近隣の山の中では抜群の存在感を誇っている。この山を百名山の一に選んだ深田久弥も、東海道本線の車窓から見えるポコッと盛り上がった伊吹の山容に心惹かれるものがあったらしい。
 伊吹山は、古くは神代の日本武尊による東征神話の最後の舞台として登場している。日本武尊は、この山の悪神との戦いで傷つき命を落とした。ずっと後の中世になると、この山には織田信長の薬草園が作られた。名物として知られる伊吹もぐさも薬草の産地ならではの品だったのだろう。
 薬草園からのつながりで言えば、この山はお花畑の山としても知られる。





 登山ルートはおよそ2通り。岐阜県側から伊吹山ドライブウェイを利用して一気に車で山頂近くまで行くか、米原市上野側の山麓から自分の足で登るかである。今回は後者のルートで伊吹山に挑戦。公共交通機関を利用の場合は、JR近江長岡駅から路線バスが出ているのでこれを利用すると良い。
 
■登山スタート(AM9:10)
 

 伊吹山の登山道は、三之宮神社右手奥・ヤマトタケルノミコト伝説ゆかりの「命水ケカチの湧」付近から始まる。登山口バス停からここまではほとんど距離がなく、かなり分かりやすいルートのはずなのだけれど、私は登山口に着くまででいきなりミスコースをし、非常に幸先の悪いスタートになった。そこが登山口であることを示す道しるべが何基か立っていて、古いものには「歓迎 伊吹山」と書いてある。新しいものには「伊吹山(日本百名山)登山道入口」と書いてあり、ここからも最近の百名山ブームが窺い知れる。
 登山口から1合目までは鬱蒼と茂る雑木林の中の道を行く。


■1合目着(AM9:25)
 





 伊吹山の1合目付近はスキー場のロッジ地帯になっており、スキーリフトなどの設備がある。樹木の類は一切切り払われ、代わりに芝が敷き詰められた緩斜面だ。伊吹山登山道の特徴の一つなのだけれど、ここから先は山頂までほとんど樹林帯を通ることが無い。見通しのいい斜面では、「パラセール」と呼ぶのだろうか、落下傘のようなものを背負って宙を舞っている人の姿も見える。
 1合目から2合目までは15分程をかけて移動。2合目は特にどうという事も無い上り坂の途中にある。


■3合目着(AM9:55)
 

 3合目近くまで来ると、一気に視界が開け、これから登ろうとする伊吹の巨大な山壁が前方に迫ってくる(このページトップの写真参照)。伊吹高原ホテルの玄関先が3合目だ。3合目には伊吹山スキー場の開祖となった(らしい)「中山再次郎先生像」もある。
 このあたりは起伏のほとんど無い非常に緩やかな上り坂になっている。ここまでの登りに比べて精神的にも体力的にも余裕が出てきて、山頂までの道程もおよそ目星がついたような気分になってしまうが、現実はそんなに甘くない。3合目は3合目。あくまで全行程の10分の3に過ぎないことは、今後の道程で思い知らされることになる。
 ともあれ、やはり3合目付近では高原のムードを味わいながら、のんびりと歩くのが良い。やがて木立の中の道に入り、10分ほど歩くと4合目を通過する。4合目には特筆するほどのものはない。


■5合目着(AM10:12)
 

 3合目から20分ほどで5合目に到着。ベンチや(あまりきれいではないが)トイレなどもあり、大休憩にはちょうど良いロケーションだ。景色も悪くない。そしてちょっとビックリしたのだけれど、5合目にはコカコーラの真っ赤な自動販売機があり、しかもこれが生きていた。どうやら5合目周辺はキャンプ場としての利用も考えて整備されているらしい。しかし、カルチャーショックだ。
 伊吹山では、登山者の放置していくゴミが問題になっているのだと言う。こう言ってしまうと身も蓋も無いが、このような自動販売機を設置しておいたら、ゴミの量は確実に増えるだろう。自販機の近くにゴミ箱は無く、それでいて販売しているのは用済みになった後は始末に困る缶飲料がメインと来ている。自動販売機の利用者は、マナーを心得た人間ばかりではあるまい。
 5合目近くには殉難之碑もある。昭和43年の2月4日、雪崩による被害で山小屋もろとも3人が犠牲になったということのようだ。人里近くとは言え、冬の伊吹は厳しい。



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