仁義なき広島迷子

 前回青春18きっぷを利用して広島にやってきたのは、もうかれこれ2年前、2005年の夏の事だ。その時のことをこちらのサイトには書き記していないが、それとは別に旅行記を残した北陸旅行の1週間前に、今回の旅と概ね同じようなプランニングの元に広島へやって来た。違っていたのは目的地ぐらいのもので、その時は毛利元就にゆかりのある吉田郡山城址を見て1泊、翌朝一番に原爆ドームと平和記念資料館、広島城を見て帰途に着いたのだった。その時の寝床が、広島市中区は薬研掘にあるグランドサウナ広島だった。18きっぷ旅の宿は24時間サウナとすることが通例となっているので、今回も同じくグランドサウナに止まることにしていた。しかし「勝手知ったる広島の街の以前泊まった事のあるサウナに再度宿泊するのだから、事前の下調べなんか必要ないね」などと傲慢になっていたのがいけなかった。

 広島駅に着いたのが18時頃である。前回の記憶を手繰ってみるに、駅からグランドサウナまで20分ほどは歩いたような気がする。まっすぐ向かえば18:30にはサウナにつけることになるが、そんなに早くに行き着いたところでこれといってすることもない。途中で飯でも食べながら、まあのんびりと行こうか。そんな事を考えながら、広島駅の新幹線口を出る。しばらく来ない間に駅の様子も随分と様変わりしたような気がする。

 これが第一の間違いであった。広島の街は、駅から見て南側が開けている。駅の北側はどちらかといえばうらぶれたムードだ。そのことまでは分かっていたのに、新幹線口=北口ということにまったく気づけなかった。スタートから勘違いがあったのでは、その後の道のりなどめちゃくちゃである。道路標識に見られる「海田市」「東広島」などの地名をもとに自分の進行方向を割り出そうとしても、実際の南北と自分の考えているものとがまるっきり逆なのだから、まるで狐につままれたかのごとく自分の居場所がつかめない。ようやく根本的な間違いに気づいたのが1時間後。

 とにかく駅の南側に回りこむ。そうそう、前来た時の「駅前」はこんな感じだった。ひとまず安心し、気を取り直して歩き出す。1時間あまり無駄に歩いたが、ちょうど良い暇つぶしにはなった。ここからまた薬研掘を目指そう。しかし薬研掘というのは、この「MAXマップル」の広島エリア地図で言うとどのあたりになるものかね。…これが第二の間違い。結局、目標地点も定かならぬまま歩き出したのが災いし、その後も二時間近く夜の広島を迷走(というか「迷歩」)する羽目になった。今あの時のルートを再検証して見ると、どうやら駅前を出たあと一度比治山の方まで行き、国道2号線に突き当たってからは道なりに西へ進み、広島市役所の前で市電の軌道を見つけ、市電沿いに歩けば盛り場に着くのではないかと考え北進、本通りあたりで右に曲がりとぼとぼと歩いていったらグランドサウナのホームページからプリントアウトした地図にあった天満屋を見つけたので堀川町あたりを回りこんで薬研掘にまでたどり着いたという感じになるようだ。その軌道は螺旋を描いており、いやはやまったく無駄の多い事である。

 ちなみにその長い迷子タイムの間にも適当なお好み焼き屋を見つけることが出来なかったので、新天地近くの吉野家で牛丼を食べて夕食とした。この店は前回の広島行のとき利用し、食事が吉牛となるのもいつもの事なのだけれど、今そのあたりの様子を地図で調べて見ると「お好み村」などというのがあるではないか。やはり事前調査というのは重要である。

 そんなこんなで、春先の夜に汗でドロドロになりながらグランドサウナ広島に到着。各種の変わり風呂を堪能しながら気持ちよく汗を流し、疲労もあったのであまり上等な寝室とはいえないカプセルルームの中で眠りに付いた。明日は朝一番で新高山城だ。三原城も見て行けると良いが…。






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