越の国・新潟

 六日町から長岡までも結構あったが、長岡から新潟市までもそれに負けず劣らずである。電車は快適に走る走る。けれどもなかなか新潟駅にはたどり着かない。結局、またまた1時間ほどの道のりを経て、今日1日の終着駅・新潟にたどり着いた。新潟は、わりと最近になって政令市に移行したらしい。元来県庁所在地だったということもあり、駅はそこそこ大きい。ともあれ、長い夏の日もとっぷり暮れてしまった時間である。例によって例のごとく、吉野家で牛丼を食べ、寝床を探す。

 御食事処吉野家と同様、夜の宿はサウナか健康ランドの類というのが18きっぷ旅の定番である。これまでは、ある程度の大きさの街ならばオールナイトサウナの一つもあろうかと事前調査もしないで現地入りする事が多かったのだが、これまでの経験上、新潟規模の街だと飛び込みで宿を見つけられるかどうかが微妙に思われたので事前の下調べをしておいた。結果分かったのが、新潟のサウナは値段は相場より高めだがコストに見合ったパフォーマンスは望めない一軒と、総じて治安に問題のある一軒の二者択一だということである。そこで背に腹はかえられぬとばかり、高い方のサウナに当たりをつけて現地入りしたのだが、その入り口にはどうも最近になって深夜営業はやめたというようなことが書かれている。やめたというのだからやめたのだろう。このサウナはホテルに併設で、下手に話を振るとホテルの方にご宿泊しなければならない空気が出来上がりそうだったので突っ込んだ事を聞くのはやめておいた。

 あまり気が進まなかったのだが、治安が良くないと専らの評判の店を探す。その店は、新潟の盛り場と思われる飲食店街の一角にあるらしく、場所を探してうろうろしているといかがわしい店の客引きから盛んに声をかけられる。けれどもサウナは見つからない。大して広い繁華街でもないのだが、同じようなところをぐるぐる回っても行き着けないため、店自体つぶれているのではないかと思い始める。気がつけば、(サウナよりは高いが)そこそこ安価で質素なビジネスホテルも何軒か目に入ったので、その中でも最も安いと思われたホテルに今宵の宿を求めた。結局さらにそのホテルの中でも最も安い、一泊4千円弱の部屋にご宿泊。

 部屋に入ってみると、四畳半よりも狭いと思われる布団部屋のようなところにベッドと机が置いてある。まさに「起きて半畳寝て一畳」の世界である。室内には一応テレビが存在していたが、まともに設置するスペースがないため、ベッド上方の壁から棚を吊り下げて、その上に置いてある。さすがに頭上にテレビがあるわけではないが、寝ている間に地震でもあったら、足から下腹部辺りのどこかにテレビが落ちてきそうである。最近地震の多い新潟なだけにどうも笑い飛ばすに笑い飛ばせない。しかしまあ、最低ランクのビジネスホテルの部屋というのはこのようなものだろう。

 今日は思いがけずというか思ったとおりというべきなのか、ともかく歩きに歩いた。風呂に入り太ももからつま先まで念入りにマッサージし、明日の行動をおさらいする。新潟駅を始発で出て、まず最初に向かうのは山形県米沢市である。ここでいかにうまく立ち回るか。明日の旅程を大過なく消化できるかどうかは、全てその一点にかかっている。






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