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| 激痛マッサージ |
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| Tsimshatsui (Hong Kong) |
昨夜の獅子堂から昼の香港を展望した後、ピークギャラリアでウインドウショッピングをし、再び例のトラムで山を下りる。昨夜と同じようにスターフェリーに乗るため移動してきた港でスターバックスに入り、午後の行動について作戦会議を行う。スタバは別に日本の味ではないけれど、見慣れた店に入れると安心する。そして会議の結果、とりあえず観光ガイドに載っていた足裏マッサージ店へ行こうという事になった。
尖沙咀（チムシャツォイ）亞士厘道（アシリーロード）にあるその店は、「大極」と言う名前で、「るるぶ」や「地球の歩き方」という有名どころのガイドブックにも載っている。香港のマッサージ店は当たり外れの差が激しく、下手な店に入るとマッサージ師の技術が劣るばかりか不潔な環境からおかしな病気をうつされることもあるというが、この店はどうやらかなり日本人観光客を意識した商売をしているらしく、その点で安心できる。日本語を話せる日本人スタッフがいるのも都合が良い。
私はここまで一円も払わずに香港を旅している負い目やら、歩き疲れて何より昼寝を優先させたいやらでマッサージは遠慮したが、同行者の様子を見るに、まず最近流行のデトックスマシーン（仮称）に足を突っ込んでから足裏マッサージを受けるようである。彼らはひとしきり排毒を済ませた後、別室へ移動し足つぼを押され始めた。その後の模様は、テレビのバラエティー番組では罰ゲームまがいなものとして行われるマッサージの様子そのものだった。時折、「イタタタ…」というような悲鳴ともうめき声ともつかない声と共に、「○○が悪くなっている」というような話し声が聞こえてくる。マッサージスタッフは日本語の話せない香港人のようだが、どうも「ここが痛ければ何が悪い」というのが分かるようになった図が用意されているらしい。45分と言われたコースを終えて彼らが戻ってきた時、手には足裏のつぼを図示した紙を持っていた。それぞれに番号を振られた何十と言うつぼとそれに対応する体の部位が示された代物で、芳しくない反応があった箇所はマーカーされている。治療を受けた人たちは、「足が軽くなったようだ」とは言っていた。
香港はアジアの金融センターであり、経済活動の拠点の一つともなっている大都会だ。観光名所が皆無と言うことではないがいわゆる観光スポットと言うのは意外と多くないので、買い物に費やす時間が長くなる。パッケージツアーなどで買い物にかなりの時間が割かれるのは、免税店などと提携している旅行会社側の都合であると共に、結局それ以外にこれと言ってすることがないということらしい。もちろん、香港には最初から買い物旅行に出かけると言う向きも少なくないのだけれど。
こういう趣向は女性はそこそこ楽しめるかもしれないけれど、私はどうしてもブランド品ショッピングに興味を持てないのでさっさとホテルに引き上げた。そう言えば香港では最近中国人観光客が増えているそうだが、彼らは一昔前、ちょうどバブル期の日本人が海外で買い漁ったようなブランド品を、当時の日本人と同じようにありがたがりながら買っているらしい。中国も日本が歩いてきた道を進んでいると言うことか。ちなみに香港の街角を歩いていると、唐突に偽ブランド品を売りつけてくる物売りと出くわす事がある。「ブランド偽物買わない？」といった具合に紛い物である事を自己申告するだけ罪は軽いような気もするが、こうして買った偽ブランドは結局税関で没収される可能性が高い。商売熱心な彼らは、相手の素性に合わせて数ヶ国語を使い分けている。
この日の夕食は北京ダックをメインディッシュにした中華料理。香港に来てからこっち、朝食のビュッフェを別にすれば食事と言えば中華料理しか食べておらず、高級食材の力をもってしてもさすがに中華は食傷気味だった。北京ダックの味は、可もなく不可もなくといったところか。ただダックそのものはかなり脂っこい。特に香港の北京ダックはライスペーパーに包んで食べないと口の中が脂でギトギトになってしまうような代物らしく、それほど旨いものとも思えない。まあ話しの種にはなったといったところか。ああウーロン茶が旨い。香港では急須の蓋を少し開けておくのが「お茶のお代わりをください」を意味するサインとなるのだそうだ。お代わりをもらったら指でテーブルを二回叩く。「ありがとう」のサインである。花京院が言っていた。
食事を終えると、高速船でマカオへと戻った。もはやホテル着の時間が遅くなるのはお約束である。
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